健康アドバイス:花月クリニック

花月クリニック【北海道新十津川 漢方・糖尿病・椎間板ヘルニア・婦人科疾患・アトピー・低音難聴・ダイエット(肥満症治療)入院】の治療

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肥満の解消法

肥満の解消法

肥満の解消法

まず、自分が肥満かどうかを判断することです。標準体重より20%以上を肥満といいますが、標準体重は身長の2乗×22で表すことができます。前後10%であれば適正体重です。糖尿病、高血圧や高脂血症を合併している場合には、標準体重より10%以下に落とすことが必要です。肥満解消には、食事療法と運動療法が必要です。食事療法だけでは次第に減量しにくくなる適応現象が出現しますので、一日300kcalの運動療法を併用することが基本です。

たとえば、身長170cmの人の場合・・・ 1.7×1.7×22=63.58kg
適正体重は57.22~69.9kg(前後10%であれば適正体重)
食事療法のポイント
摂取エネルギーの制限

標準体重と運動量によってエネルギー摂取量が異なりますが、肥満が高度(標準体重の30%以上)の場合、標準体重kg×20kcalにします。それ以下の肥満の人は、標準体重kg×25kcalとし、運動量に応じ27~30kcalにします。
適切な栄養配分

脳、神経、内臓、筋肉などの活性組織を保持するために必要なタンパク質の確保として、一日最低でも標準体重kg×1.0~1.2gのタンパク質は摂取しましょう。脂肪のとりすぎは良くありませんが、極端に制限すると、脂溶性ビタミン(A、D、E)の不足を招くので、注意が必要です。ビタミンやミネラル不足を防ぐためにも緑黄色野菜、海草類の積極的な摂取が必要です。一回の食事に200gはとるようにしましょう。但し、野菜を食べるときにマヨネーズのかけすぎは禁物です。一日一杯の牛乳の摂取をしましょう。
過った摂食パターンの是正

摂取エネルギーを守っても、一日1~2回の不規則な食事のとりかた、どか食い、むら食い、多い間食、一日の摂取エネルギーの半分以上を夜に摂取する夜食症候群のような摂取パターンを直さないと減量効果は得られません。規則的な一日3食の食事習慣を確率し、間食を避け、夜8時以降はなるべく摂取しないようにしましょう。
やせるコツ

やせるということは、体脂肪を燃やすことです。体脂肪は、空腹の時間に燃えやすい状態にあります。空腹時には自分の体脂肪が燃えているので、その火を消さないためにも間食は避けましょう。

糖質は、極力減らすことをすすめます。糖質は脳のエネルギー源として重要ですが、体脂肪に転換しやすいので気をつけましょう。特におかずの味付けには、砂糖のの使用を極力少なくしましょう。

食物繊維をたくさんとることも大事です。食物繊維は、摂取した糖質や脂肪の吸収を遅延させ、減量効果が期待できます。

運動は、20分以上の早足歩行か軽いジョギングが必要です。膝などが悪く、歩くのが負担になる方は、プールでの歩行や無理のない程度の歩行にしましょう。運動の効果は、せいぜい3日しかもたないので、週に3回以上、できれば毎日するとよいでしょう。

食事の仕方を改善することが必要です。早食いをせず、よく噛んで時間をかけて食べましょう。こうすると、満腹感が得られるため、過食が避けられます。
長期に継続させるためのテクニックは以下の通りです。

* 目標を決める。
* 毎日の体重を測定し、グラフ化する。
* 運動の記録をつける。
* 食事と関連する出来事を記録し、自己監視する。

アルコールの摂取は、できるだけ減らすようにしましょう。ビールなら350mlまでとしましょう。アルコールは、7kcal/mlと高カロリーであるばかりか、食欲を増進させたり、脂肪に転換しやすく、脂肪肝や体重増加の原因となります。

脂肪の摂取を減らし、最少量を植物油で摂取しましょう。植物油は、動物性脂肪に比べ、体脂肪になりにくいからです。

果物の摂取はビタミンCの補給に大事ですが、取り過ぎは糖分過剰となります。果物の種類によって、一日の摂取量が異なります。例としては、リンゴ150g/日、柑橘類200g/日(ミカンなら3個)、イチゴ250g/日となります。

動脈硬化を考える

動脈硬化を考える

「フレンチ・パラドックス」の謎/赤ワインと動脈硬化について
フランス人は、肉や乳製品などの動物性脂肪をたくさん摂っています。何せ年間一人当たりの肉消費量はヨーロッパでトップなのです。私たちの常識では、こうした国民は血清コレステロール値が高く、心筋梗塞、狭心症といった虚血性心疾患による死亡率が高いのではないかと予想しますが、実際には虚血性心疾患による死亡率は、∃ーロッパで最下位、イギリスの3分の1以下、ドイツの約2分の1という数字になっており、これが「フレンチパラドックス」と呼ばれる謎です。これには、様々な解釈が行われてきましたが、最近注目されているのが「赤ワイン説」です。フランスではワインはいわば“飲む主食“であり、昼食時の”おかず“のパンを噛みながらワインを飲む姿はごく日常的な風景になっています。実際、フランス人の一人当たりの年間ワインの消責量は世界一です。


赤ワインには、ポリフェノールが含まれ、動脈硬化予防作用があることがわかってきています。動脈硬化は、LDLコレステロールという悪玉コレステロ-ルが活性酸素により酸化を受け、性質が変化したものが、血管の内膜(血管壁の一番内側の壁)に入り込むことによって起こります。そして、動脈硬化により血管の壁が厚くなると血管の流れが悪くなったり、血液がかたまりやすくなったりして、心臓疾患や脳卒中などの原因になります。赤ワインのポリフェノールは、LDLコレステロールの酸化を予防することによって、動脈硬化を予防する効果があります。


「過ぎたるは及ばざるがごとし」というように、いくらワインが健康によいといっても、飲み過ぎは良くありません。アルコールの摂り過ぎは血液中に中性脂肪を増やすからです。中性脂肪が多いとなぜ良くないのでしょうか。コレステロールが高いと動脈硬化を促進するということは、みなさんご存じと思いますが、最近まで中性脂肪が高いと健康にどのように悪いかが分かっていませんでした。

中性脂肪と動脈硬化について
コレステロールの中で悪玉コレステロール(LDLコレステロール)という物質があって、血管壁の中でマクロファージという掃除屋さんによって貪食され、血管壁の内膜にコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を進めてしまいます。 LDLコレステロールには、悪玉コレステロールの中でも最も悪い(悪玉中の悪玉)スモール・デンスLDLコレステロ-ルがあります。スモール・デンスLDLコレステロールは、 LDLコレステロールの中で一番酸化を受けやすいため、(酸化LDLコレステロールをより好んで食べる)マクロファージにより容易に貪食されて、血管壁の内膜にコレステロールがより貯まりやすくし、動脈硬化をより一層進めてしまいます。

適切な栄養配分
実は中性脂肪が多い人には、スモール・デンスLDLコレステロールが多いのです。したがって中性脂肪が多い人は、動脈硬化になりやすいのです。中性脂肪が多くなりやすい人は、アルコールの摂り過ぎのほかに、肥満、糖尿病、脂肪肝のある方です。コレステロールがそれほど高くなくても、中性脂肪が高い場合は注意が必要ですが、コレステロール値が高い上に中性脂肪が高い場合は要注意です。中性脂肪を下げるには、まず食事療法、運動療法を行い、適正な体重にすることが必要です。

肥満がもたらす弊害

肥満がもたらす弊害

シンドローム×は、聞き慣れない方もいらっしゃると思います。シンドローム×は、インシュリン抵抗性症候群とも呼ばれ、高血圧、インシュリン抵抗性、上半身性肥満、高トリグリセライド血症、低HDL-コレステロール血症を特徴として、狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患の危険性の高い症候群てす。過食、運動不足などのため、肥満となり、インシュリンが効きにくい状態となって、過剰のインシュリンが分泌されることが原因となっております。

高トリグリセライド血症は、中性脂肪という脂質が増える病態で、前回も紹介しましたように、アルコールの摂り過ぎ、糖尿病、肥満などで増えます。
低HDL-コレステロール血症とは、善玉コレステロールが少ない状態です。過食、運動不足、過剰の飲酒といった生活習慣の乱れやストレスが結果的には高脂血症、高血圧、糖尿病をもたらし、さらに動脈硬化を助長します。
高インシュリン血症が肥満を助長し、肥満が高インシュリン血症をもたらすように悪循環が形成され、より生体にとって不利な方向へ加速されていきます。逆に過食を控え、適切な食事療法をして、運動を積極的に行い、控えめの飲酒、ストレスの発散などにより悪循環を断ち切り、良循環の方に持って行くように致しましょう。
生活習慣病を氷山に例えれば、氷山の大部分の海面下の部分が、インシュリンが効きにくいインシュリン抵抗性(高インシュリン血症)=肥満であり、それによって引き起こされる高血圧、高脂血症、糖尿病、脂肪肝といった海上にある氷山の生活習慣病の治療には、海面下の治療を欠くことはできないのです。肥満を伴った高血圧、糖尿病や高脂血症の人には、個々の治療も大事ですが、それぞれの疾患の原因となっている肥満の治療は、非常に重要で欠くことができません。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」というように、いくらワインが健康によいといっても、飲み過ぎは良くありません。アルコールの摂り過ぎは血液中に中性脂肪を増やすからです。中性脂肪が多いとなぜ良くないのでしょうか。コレステロールが高いと動脈硬化を促進するということは、みなさんご存じと思いますが、最近まで中性脂肪が高いと健康にどのように悪いかが分かっていませんでした。
肥満治療について

当院を初診で訪れた肥満の患者さんに、前医が行った肥満についての対応を尋ねてみましたところ、ほとんどの医師が、「やせなさい。」とのみ話すだけで、「どうしたらやせられるのか」という指導を行っていないケースが多くあります。言葉だけで、「やせなさい。」と言われても、やせることはできません。
肥満の治療には

1.肥満がもたらす弊害(生活習慣病)について、なぜやせなければいけないのかを理解し、動機付けを行う。

2.やせるつもりで行っている自己流の食事療法には、落とし穴が見られることが多いので、食事療法について栄養士からわかりやすく説明してもらう。

3.間食を辞め、野菜を多くし、味付けを薄くしできるだけ砂糖を使わないようにする。

4.自分の体調に合わせ、速足などの軽い運動を1日20分以上行う。などが必要です。

免疫について

免疫について

蜂っ子を服用すると、「風邪を引きにくくなった」「風邪を引いてもひどくならなくなった「元気が出てきた」など蜂の子が免疫に関わる可能性が示唆されております。これから何回かに分けてシリーズで免疫に関するお話をしていきましょう。
免疫とは、細菌、ウイルスなどの外敵やガン細胞を排除し、体を守るための仕組みです。一方、生体にとって不利となる喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、慢性関節リウマチや慢性甲状腺炎(橋本病)などの自己免疫性疾患も、免疫過剰状態として免疫が関与しています。
私たちの体を病気から守ってくれている細胞が白血球です。白血球には、マクロファージのほかに、進化によって生じた顆粒球とリンパ球があります。顆粒球は主に細菌処理を受け持ち、リンパ球は主に抗体を利用した免疫反応によって微少抗原(ウイルスなど)の処理を受け持っております。

免疫反応の特徴
生体防御反応は、マクロファージが基本となり、貧食系は顆粒球が、免疫系はリンパ球がつかさどります。リンパ球には、2つの系統があり、ひとつが、系統発生学的には古くから存在するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)と肝臓などで作られる胸腺外分化T細胞、胸腺で作られる通常T細胞(これらをNK/T細胞系列と言います)。もうひとつが、骨髄で作られる通常B細胞であります。

顆粒球とリンパ球
ヒトの成人末梢血では、マクロファージ(単球)‥顆粒球‥リンパ球=5%‥60%‥35%となっております。リンパ球の比率は、35%を中心にして30%~45%と変動しますが、 20%~30%だと、体調が優れず、何らかの病気(顆粒球増多による組織障害関連の病気である胃潰瘍、発ガンなど)が発症します。45%以上のヒトは、肥満、運動不足、排気ガス吸入などがないか注意する必要があります。

顆粒球とリンパ球は自律神経の調節を受ける
顆粒球とリンパ球は、自律神経系の支配を受けて分布(比率)が調節されています。交感神経と副交感神経からなる自律神経系のバランスが一方に偏りすぎると、病気が発症します。私たちの役に立つべき防御システムが、逆に病気を引き起こす力を持っていることを理解する必要があります。
顆粒球は、交感神経支配を受け、リンパ球は、副交感神経支配を受けております。これは、行動にあわせて合目的に防御系を準備しておくことが必要であるものと考えられます。すなわち食物を取る行動などの活発な体調(交感神経優位)のときには、細菌感染に備えて顆粒球を準備します。食べている時や休息時(副交感神経優位の時)には、消化とともに生じる異種タンパク質の断片が体に侵入してくるのに備えて、リンパ球を準備するのでしょう。
地球の自転や公転によって私たちの体調もこれに伴って変化しています。夏や夜は、ゆったりした体調から、副交感神経優位であり、逆に冬や昼は交感神経優位です。このような一日の推移や季節で生じる自律神経系の変化は、白血球の変化を生み出します。)夏や夜は、リンパ球増多、冬や昼は、顆粒球増多となります。春は交感神経から副交感神経へ移行するので、顆粒球からリンパ球側への移行の時期に当たります。この時期にアレルギー疾患が多くなるのは、リンパ球の過剰反応を引き起こすからです。気圧の変化についても自律神経系が影響を受けます。天候が高気圧になると、交感神経が優位となり、顆粒球が増加します。低気圧のときには副交感神経優位からリンパ球が増加し、体が重くなったり、喘息の発作やリウマチ患者の関節痛を生み出すことになります。

NK細胞はガン細胞を殺す
NK細胞は、1975年に報告された、健康なヒトの末梢血中に見いだされたガン細胞を殺す能力があるリンパ球です。その後ウイルス感染細胞も殺すことがわかりました。 NK細胞の細胞質内の顆粒には、パーフォリンなどの細胞殺傷タンパク質が入っていて、これをガン細胞にふりかけて殺すのです。NK細胞のキラー活性は、リラックスした副交感神経優位の体調で最大となります。笑いや快適な気分がNK活性を上昇させます。逆にストレスが、NK活性を低下させます。
心の持ち方や生活習慣など工夫次第でNK活性低下を防いだり、 NK活性を上昇させることができることを理解していただき、より健康なライフスタイルを目指していきましょう。

アレルギー疾患について

アレルギー疾患について

アレルギー疾患は、異物排除の反応である
アレルギー疾患は、全て動物や植物の微量異物を体内から排除する反応です。発疹が出る、下痢をする、咳をする、鼻汁を出すなどの症状は、異物排除の生体反応です。
アレルギー疾患には、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症の他、寄生虫疾患も含まれております。アレルギー反応はリンパ球と抗原の反応ですが、リンパ球が産出するlgEと抗原が肥満細胞や好塩基球、好酸球を刺激する反応が加わります。刺激を受けた肥満細胞、好塩基球、好酸球は、ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリン、プロスタグランジンなどを放出します。いずれも抗原を体外に排泄する反応を誘導するものです。(図1)
アレルギー反応が出やすい人は、リンパ球が多い体質をもったリンパ球人問=アレルギー体質の人です。リンパ球体質の人が、ストレスを受けたり、多量の抗原にさらされた時に強いアレルギー反応が生じます。アレルギー発症時には、例外なく、交感神経の緊張から血液中の顆粒球が増加し、ストレスから解放されようと副交感神経反射が強く起こることが、アレルギー症状の本体です。

症状を止めるだけでは根本的な治療にはならない
アレルギー症状は抗原を体外に排除する反応でありますので、アレルギー症状が不快だからと言って、この反応自体を止める治療だけに目を向けると、治療に失敗することがあります。ステロイドホルモン、抗ヒスタミン剤、交感神経刺激剤などは、アレルギー症状を一時的に軽くしたり、止めたりしますが、それだけでは根本的な治療とはならないのです。アレルギー反応自体を止めることのみに力を注ぐと、症状は移り変わることがあります。皮膚の発疹を止める治療をすると気管支喘息になったり、逆に喘息発作を止めようとすると、アトピー性皮膚炎が起こったりします。この現象は、アレルギーマーチと呼ばれています。
したがって、アレルギー治療の本質は、

* ストレスから解放させる。
* リンパ球体質を改善させる。

ことであり、対症療法のみではアレルギーから解放されることはありません。

アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、今の日本の子供達のかかる最も多い疾患です。その原因は、子供の体調が副交感神経優位に傾いてきているためです。第2次世界大戦後の日本のように貧しく、衣食住に事欠いていると、寒さや空腹感が交感神経を刺激します。一方衣食住が満ち出りていると、副交感神経優位となり、さらに大気汚染にさらされると、ますますその傾向を肋長します。このような副交感神経優位の体調は、リンパ球を増やし、アレルギー体質が形成されていきます。

副交感神経優位の原因には

* 過保護
* 甘いものの食べ過ぎ
* 運動不足
* 肥満
* 排気ガス吸入
* 新建材(接着剤〉から出る有機溶剤の吸入
* 農薬などの食物汚染

などがあります。副交感神経過剰体質になると、ストレスから回復するときには激しいアレルギー症状を発現します。

過剰な抗原やストレスにさらされると発症する
抗原が体内に侵入すると抗原抗体複合体を作ります。生体はこれを希釈したり、体外に出そうとして血管を広げて血流を増加させます。また、発疹をつくり、複合体を直接皮膚から体外に出そうとします。異物を排除するための反応ではありますが、発疹、下痢、かゆみ、発熱を伴うために、患者にとっては、辛い症状に感じられます。

ステロイド外用薬の作用を検証する
ステロイドホルモンは、1950年代に入ってから臨床に用いられましたが、最初に使われた患者は、慢性関節リウマチでした。その強力な抗炎症作用によって、劇的に患者の関節炎が抑制されました。しかし、数年を経てこの抗炎症作用が見直されるようになりました。ステロイド剤を長期間使用すると激しい関節破壊が起こり、急速に病気が悪化し始めたからです。
アトピー性皮膚炎に対するステロイドの外用剤についても同様な弊害がありました。酒渣(しゅさ)様皮膚炎と言って、皮膚の脆弱(ぜいじゃく)化や毛細血管の拡張が起こるし、ステロイド精神症(不安感、うつ状態など)が引き起こされます。一旦は、反省期に入りましたが、1980年・1990年代に入って再びステロイドホルモンが活発に使用され、今日のステロイド薬害に苦しむ多くのアトピー性皮膚炎の子供達が出現しました。内服のステロイド剤と違い、外用剤は、副作用の出現に2年・数年と長い年月を要し、副作用に気付くことが遅れがちになり、難治化しやすくなりますので、注意しなければなりません。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの子供に多いアレルギー疾患が、高学年になると治癒することが多いのは、子供時代のリンパ球体質が15歳~20歳で終わるからです。しかしステロイド外用剤を熱心に塗った子供は、自然治癒が起こらず、難治化へと進みます。その理由は、外用ステロイドホルモンは、皮下組織に沈着し、自然酸化を受けて、酸化コレステロールとなり、体内に停滞し、酸化コレステロールによって激しい血流障害や局所の炎症が引き起こされるからです。ステロイド外用剤が真の治癒をもたらす薬でないことに気づき、独力でステロイド離脱を行う事が多いようですが、炎症を中和するためのステロイドが途絶えると、沈着した酸化コレステロールの炎症の抑制がはずれ、酸化コレステロールの激しい炎症や交感神経刺激症状が現れます。この現象をリバウンド現象といいます。このため、治癒できない迷路に入り込んでしまいます。このようにアトピー性皮膚炎に対するステロイド療法は、その場しのぎの治療法で、真の治癒を目指す治療法でありません。一方、アトピー性皮膚炎に対する漢方薬治療は、体質改善効果があり、実に効果的であります。漢方薬をただ使えば良いというわけではなく、使用する漢方薬の選択によって、効果に大きな隔たりが出ます。したがって診断をする医師の力量も試されるわけです。ある漢方薬が効かなかったことが、全ての漢方薬治療が効果的でないと思わないでください。抗原を避けてアレルギー体質を変える方法も重要です。抗原として、ハウスダスト、動物の毛や皮屑、食品などがあげられます。これらの抗原に多量にさらされない工夫が必要です。抗原以外に精神的ストレスや肉体的ストレスもアトピー性皮膚炎の誘発に関与しています。リンパ球体質を急激ではない交感神経によって徐々に正常体質に変えて行くことが必要です。

リンパ球体質を急激ではない交感神経によって徐々に正常体質に変えて行くことが必要です。

* 排気ガスの吸入を避ける(転地療法など)
* 運動不足とならないために、運動を積極的に行う
* 有機溶剤の吸入を避ける(換気、家の引っ越しなど)
* きびきびした生活を送る(過保護からの脱却)
* 甘いものを取らない。
* 肥満を解消する。

皮膚も排泄臓器の一つであり、環境汚染物質を排泄しようとして起こる生体反応がアトピー性皮膚炎の原因の一つであることを知らなければなりません。

アレルギー性鼻炎、気管支喘息について

アレルギー性鼻炎、気管支喘息について

アレルギー性鼻炎
15歳から20歳まで子供時代のリンパ球優位のパターンが続きますが、次第に大人型の顆粒球優位のパターンになっていきます。リンパ球の比率は40~50%から次第に減少し、100歳の老人では、20~25%位になります。大人でリンパ球の比率が30%を割ると、体に何らかの異常が生じ、20%を割ると組織障害の病気が発症します。 10%を割ると、生体の分子酸化が進み、死へと向かうことになります。大人でも副交感神経を優位にする刺激が入ると、リンパ球が増えてアレルギー体質が形成されます。そして過剰抗原やストレスにさらされると、アレルギー性鼻炎、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が発症します。いずれの症状も副交感神経反射です。副交感神経反射は、アセチルコリンの他、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジンなどの化学伝達物質を放出する反応なので、毛細血管の透過性が亢進し、分泌が激しく高まります。これらの反応は、ストレス異物を希釈し、体外に排泄しようとする治療反射です。  ストレスから治癒までの副交感神経から交感神経までの振幅が大きいので、治癒反応が不快になるのです。この振幅を小さくしようとすることが根本治療となります。抗原から逃れ、精神的あるいは身体的ストレスを避けることにより交感神経刺激を弱くし、振幅を挟めることが大事であります。さらに重要なことは、副交感神経優位の体質を改善し振幅を挟めることです。副交感神経優位の体質を作る原因は、

* 排気ガスの吸入
* 運動不足
* 肥満
* 怠惰な生活

等です。これらの原因を排除することがとても重要なのです。

気管支喘息
この病気は、リンパ球体質の子供たちが小さい時に発症し、高学年になると加齢変化によるリンパ球減少によって自然治癒に向かいます。喘息発作は、抗原などの異物を体外に排泄したり、それ以上体内に入って来ないようにするための副交感神経刺激反応である治癒反射です。近年、大気汚染や土壌汚染によって体外に排泄すべき異物が増加してきておりますので、気管支喘息の患者は急増しております。
気管支喘息のアレルギー発作自体は、治癒のための生体反応なので、その症状のみを治療対象にすると、治療に失敗することがあります。アレルギー性鼻炎のように副交感神経優位の体質を作る原因の除去、すなわち過剰リンパ球体質の改善も同時にすることが必要です。気管支喘息の対症療法を行うと、アトピー性皮膚炎に移行することがあります。アレルギーマーチといって、部位はどこでもいいから異物を排除したいという、生体側の排泄現象の移動によって生じます。
二酸化炭素(CO2)がアレルギー体質を作るといわれております。

CO2+O 2- →CO3 2-の反応が起こり、体から酸素を奪い、副交感神経優位にさせ、リンパ球過剰状態にし、アレルギー体質にさせます。今日、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒状物質のみが、有害物質として注目されておりますが、排気ガスの本体である二酸化炭素がアレルギー体質を作る最大の物質なのです。ホルムアルデヒドやトルエンが、シックハウス症候群の原因物質として問題になっておりますが、これらも体内に入ったときにベンゼン核の側鎖が酸素を奪うので、二酸化炭素と同じようにアレルギー体質をつくります。
このように、アレルギー性鼻炎や気管支喘息といったアレルギー疾患の治療に際し、アレルギー体質を形成する原因を知り、体質改善を行うことが重要なのです。

「感染症」について

「感染症」について

感染症
感染症は、侵入してくる微生物側の病原性だけに目をとらわれずに、宿主側の免疫状態によって病態が激しく変化することを知る必要があります。感染症は、細菌感染症とウイルス感染症があり、防御にあたるのは白血球ですが、細菌処理には顆粒球、ウイルス処理にはリンパ球が担当します。

(1)細菌感染

顆粒球が少ないと、細菌感染症に対する抵抗性が低下しますが、逆に過剰になりますと、常在菌や他の侵入菌と反応して、化膿性の炎症を強く起こしやすいのです。顆粒球の過剰を引き起こす原因は、交感神経緊張の持続によって誘導されます。
歯槽膿漏や痔は、重症化すると化膿することが多くあります。これは、働き過ぎなどの交感神経の緊張の持続によって、全身性に血流障害と頼粒球増多が来ることから始まります。顆粒球の放出する活性酸素によって組織が破壊されますが、常在菌が多い歯肉や直腸が、この組織破壊のターゲットになるのです。
したがって、歯槽膿漏や痔を治療するには、口腔内や肛門付近を清潔に保つとともに、働き過ぎなどによる過剰な交感神経緊張状態を解く必要があります。

(2)ウイルス感染症

一般的なウイルス感染症は風邪などで日常経験しますが、この風邪ウイルス(アデノウイルス、エンテロウイルスなど)の刺激によって、私たちの免疫能が正常に保たれている可能性が高いのです。感染刺激が免疫能の保持に必要なのです。
一般的なウイルス感染症《麻疹(はしか)》などは、一度かかるともうかかりませんが、風邪の場合、抗原変異を起こすため、再感染します。風邪が重症化するのはどんな場合でしょうか?リンパ球が少なくても過剰でもそれぞれに特有なウイルス感染症状が強く出ます。(大人では、リンパ球30~45%)免疫過剰域では、ウイルスとリンパ球の戦いの過剰反応が起こり、発熱、炎症、消耗などが強く起こります。
「風邪を引きやすい」タイプの人達で、子供時代に多く見られます。逆に免疫抑制状態では、風邪の炎症が遷延化する(長引く)ことが多く、脳炎や脊髄炎などの神経障害に移行することがあります。また、頼粒球の炎症に移った時、肺炎などを合併します。このように免疫能は、高すぎても低すぎても良くなく、免疫系が正常領域にあるときに最も効率よくウイルスを排除できます。
よく体調がすぐれない時や疲れ過ぎたときに口唇ヘルペスや帯状疱疹等のヘルペスウイルス感染症を引き起こすことがあります。これは、プロウイルスとして体細胞内に潜伏したウイルスが免疫系の低下によって自己複製し、ウイルス感染症を引き起こすことによります。
通常は、リンパ球の活性化が起こり、自然治癒しますが、免疫能があまりにも低下していますと重症化することがあります。
風邪を引いたらすぐに解熱剤を使う人がいますが、あまりお勧めできません。ウサギの実験で、解熱剤を使った方が風邪が遷延化し易いというデータがあります。インフルエンザにボルタレンという解熱剤を投与して、インフルエンザ脳炎に進展した例があり、インフルエンザには、この解熱剤は用いることが出来ません。

(3)風邪への対応

風邪を引いたら、寒気が出ている早い時期にまず暖かくすることが必要です。できるだけ早めに漢方薬を服用して、体を温めて、汗が出ていないときは、麻黄湯や葛根湯などの発汗をうながす方剤を用い、汗が出ている場合は、桂枝湯類を用います。そして暖かい食事(お粥、うどんなど)と暖かい飲み物を摂ることです。
喉が渇いたからといって、冷たいドリンクを飲んではいけません。アイソトニック飲料でも熱くして飲みましょう。

「癌と免疫」について

「癌と免疫」について

癌と免疫
私たちの体の中では、免疫系によって癌細胞の増殖が抑制されたり、癌細胞が死滅させられたりしています。逆に免疫不全状態になると癌が発生してくることは、よく知られています。癌を考える上で免疫系は、きわめて重要です。免疫不全状態には、先天性のものと後天性のものがあります。後天性のものでは、エイズや移植時の免疫抑制剤使用が有名ですが、働き過ぎや心の悩みによっても免疫系が抑制されます。心の持ち方、考え方によって、免疫能が影響を受けることをご理解されることが必要です。近年の癌の研究で、多くの癌遺伝子の存在が明らかにされています。ただしこれらのほとんどが正常細胞が本来持っている上皮再生のための増殖関連遺伝子です。正常細胞が交感神経などの刺激を受け続ければ、この増殖関連遺伝子に異常が起こり、その細胞が悪性化するものと思われます。働き過ぎや心の悩みなどが交感神経刺激の持続を引き起こし、交感神経刺激が、顆粒球を活性化し、その放出する活性酸素により上皮細胞を傷つけ、置き換えを促進します。

(1)細菌感染

顆粒球が少ないと、細菌感染症に対する抵抗性が低下しますが、逆に過剰になりますと、常在菌や他の侵入菌と反応して、化膿性の炎症を強く起こしやすいのです。顆粒球の過剰を引き起こす原因は、交感神経緊張の持続によって誘導されます。
歯槽膿漏や痔は、重症化すると化膿することが多くあります。これは、働き過ぎなどの交感神経の緊張の持続によって、全身性に血流障害と頼粒球増多が来ることから始まります。顆粒球の放出する活性酸素によって組織が破壊されますが、常在菌が多い歯肉や直腸が、この組織破壊のターゲットになるのです。
したがって、歯槽膿漏や痔を治療するには、口腔内や肛門付近を清潔に保つとともに、働き過ぎなどによる過剰な交感神経緊張状態を解く必要があります。

さらに交感神経刺激が持続すると、副交感神経支配のNK細胞からのパーフォリン(NK細胞のキラー活性物質)分泌が低下し、癌細胞を攻撃するNK細胞のキラー活性が低下します。癌患者の免役能を調べると、ほとんどの場合、免役抑制状態にあります。この傾向は、早期癌患者でも見られ、癌の進行とともにその傾向が強まります。癌患者では、さらに白血球総数が増加傾向(>6000/μ1)でリンパ球の比率が30%以下の人がほとんどです。進行癌では、リンパ球比率が20%以下で、末期癌では10%前後まで低下します。抗癌剤を投与された患者では、リンパ球が著しく減少します。抗癌剤によって癌が縮小しても、再発時に癌細胞の進行が著しく高まるのは、リンパ球が減少し、免疫系が抑制された影響が考えられます。一方で手術や抗癌剤治療後に数年以上も癌が再発しない人がいます。この人たちが持っている共通の現象があります。リンパ球が40%以上持っているという特徴です。発癌した人でもリンパ球の比率の高い人やリンパ球の絶対数が多い人の方が予後がよいようです。リンパ球が35%以上、あるいはリンパ球の絶対数が2000/μ1以上の人たちの方が、治癒する傾向が高いことを経験しています。未治療の癌患者で発熱を生じ全身性の炎症反応が出ることがあります。これを傍腫瘍症候群(paraneoplasticsyndrome)といいます。現象的には、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患と似た症状を呈します。この本体は、胸腺外分化T細胞が腫瘍細胞を異常自己として認識し攻撃を仕掛けたことによります。この反応の後に腫瘍は、縮小したり消失したりします。ある意味では、生体の持つ温熱治癒反応で防御反応といえます。このような反応は生体にとって有益な反応なので、消炎鎮痛剤やステロイドを投与し、むやみに解熱させたり炎症を抑制させる方法には疑問が残ります。ストレスを除き免疫能を高めると、癌が自然退縮することがあります。
ストレスを除く方法は、

1)生活や生き方を見直してもらい、働き過ぎを避け、心の悩みを除くようにする。

2)癌は免疫能が高まると、進行が止まったり、退縮し始めることがあるので、恐怖心を抱いたり、悲観的にならないようにする。

3)針治療やくつろいだ気分になれるようにする

など副交感神経を刺激して、免疫能を高めることが重要です。

「メタボリックシンドローム」について

「メタボリックシンドローム」について

メタボリックシンドロームの概念
動脈硬化の成因は、今までは、コレステロールを中心に検討されてきましたが、1980年代の終わり頃から、”beyond cholesterol”という概念で、コレステロール値に関係なく高血糖、脂質の異常、さらに 高血圧があるというような、複数のリスク・ファクター(危険因子)が集積された状態、つまりマルチリスクファクター症候群いう病態が 動脈硬化の高い危険因子として重要だと提唱されました。 1988年Reaven(リーヴェン)は、動脈硬化性疾患が好発するハイリスクグループ(高危険群)をシンドロームXと命名し、その後Kaplan(カプラン)が死の四重奏、松沢らは、内臓脂肪症候群を提唱しました。 2001年には、 National Cholesterol Education Programによって メタボリックシンドロームが提唱されました。腹囲が男性102cm、女性88cm以上としたのに対し、2005年4月に我が国の内科系8学会によって発表されたメタボリックシンドロームの診断基準では、男性85cm以上、女性90cm以上が必須項目で、脂質異常、血圧高値、耐糖能障害の3項目のうち2項目以上を満たすものとしました。

メタボリックシンドロームは、軽度の血圧高値や軽度の糖・脂質代謝異常の集積した病態を重視しており、軽症でもこれらの病態が重複すると、リスクが高くなると云う事を示す疾患です。1995年から3年間勤労者を対象とした厚生労働省の研究で明らかになったことですが、高トリグリセライド血症、耐糖能異常、高血圧、肥満のうち、3個以上合併した場合、心筋梗塞、狭心症といった冠動脈疾患の危険率がコントロールの30倍以上にも達したのでした。

脂肪細胞について
脂肪細胞は、もっぱら飢餓に備えて、細胞内に脂肪を蓄えるエネルギー貯蔵庫としての役割を成していると考えられてきました。脂肪細胞は、最近になり、脂肪細胞の生物学的研究より脂肪細胞から生理活性物質である蛋白質を分泌することがわかるようになってきました。それらの分泌蛋白質を総称してアディポサイトカインといいます。アディポサイトカインには、善玉と悪玉に分けられますが、善玉には、ただ一つアディポネクティンがあり、インシュリンの働きを助けるインシュリン抵抗性改善作用があり、動脈硬化を予防する抗動脈硬化作用があります。

悪玉アディポサイトカインには、TNF-αやアンギオテンシノーゲンなどがあり、インシュリンの働きを妨害するインシュリン抵抗性を有し、血糖を上げたり、動脈硬化を促進させたり、血圧を上げたりする作用などを有しています。アディポサイトカインではありませんが、同様に脂肪細胞から分泌される遊離脂肪酸は、悪玉アディポサイトカインと同様にインシュリン抵抗性を増悪させ、血糖を上げたり、動脈硬化を促進する作用を有します。内臓脂肪が増加した肥満の状態では、脂肪細胞が、悪玉アディポサイトカインや遊離脂肪酸の分泌が増大し、善玉アディポサイトカインのアディポネクティンの分泌は減り、動脈硬化を促進します。

今までは、肥満になると、動脈硬化を促進させ、心筋梗塞になりやすいと言われてきましたが、詳しい理由がわかりませんでした。脂肪細胞の生物学的研究の進歩により肥満によって分泌亢進した悪玉アディポサイトカインや遊離脂肪酸が動脈硬化を促進することがわかり、肥満が動脈硬化を生むメカニズムが詳細にわかるようになりました。

メタボリックドミノ
過食や運動不足などの生活習慣の乱れによってもたらされた上流にある内臓脂肪の蓄積が、その下流にある糖尿病、高脂血症、高血圧、さらには、最終的に心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化を発症しやすい基盤として、重要な意味を持っています。
生活習慣によってもたらされる肥満が、上流に位置し、将棋倒しのようになって動脈硬化を引き起こす事がメタボリックドミノからわかると思います。
メタボリックドミノから内臓脂肪が高脂血症(中性脂肪が多い高トリグリセライド血症)、糖尿病、高血圧を誘発させ、動脈硬化を促進させることが、よく理解できると思います。

肥満を伴った糖尿病の治療
インシュリンは、細胞内にブドウ糖の取り込みを促進したり、肝臓でのブドウ糖の取り込みを促進して、血糖を下げる作用を有しておりますが、過食と運動不足によりインシュリンが過剰に分泌されると、脂肪の合成を促進させます。すなわち高インシュリン血症が肥満をもたらすのです。肥満を伴った糖尿病に血糖降下剤のSU剤を用いると、SU剤のインシュリン分泌は、長時間持続するため、空腹時のインシュリンレベルを上げ易くし、高インシュリン血症をもたらし易くします。高インシュリン血症が肥満をもたらしてしまうため、内臓肥満を助長し、インシュリン抵抗性をもたらし、インシュリンの働きを抑え、血糖コントロールを良好に保つのが難しくなりやすくなります。肥満を伴った糖尿病に対しては、肥満を助長させ易い短所を持った、血糖値だけを下げるSU剤を用いるべきではありません。メタボリック・ドミノの上流である肥満を解消する治療に目を向けて治療する必要があります。糖質の吸収を抑えるα-グルコシダーゼ阻害薬や肝におけるインシュリン抵抗性を改善させて肝からのブドウ糖の放出を抑えるビグアナイド剤を用いるべきです。これらの薬剤で食後血糖コントロールが不十分な場合は、インシュリン分泌パターンを改善するグリニド系インシュリン分泌促進薬を加えます。

メタボリックシンドロームにおける降圧剤の選択
血管拡張性β遮断薬、長時間作用型Ca拮抗薬、ACE(アンギオテンシン転換酵素)阻害薬、ARB(アンギオテンシン・受容体拮抗薬)もインシュリン抵抗性を改善する為、メタボリック・シンドロームの高血圧治療に最適です。

結論
内臓脂肪がある肥満の方には、高血圧、糖尿病、高トリグリセライド血症がたとえ軽度であっても、それらが重積すると、高率に動脈硬化を促進するので、肥満をもたらした生活習慣を是正することに重点を置いて、肥満を解消することが重要です。さらにメタボリック・シンドロームの治療は、食事・運動療法も重要ですが、高血圧治療や糖尿病治療に対し、インシュリン抵抗性を改善する薬剤(例えば、糖尿病においては、α-グルコシダーゼ阻害薬やビグアナイド剤)を選択する必要があります。