「漢方とは」その特徴について

漢方とは、ほぼ東洋医学のことを指していますが、日本だけの呼称なのです。 台湾や中国では、中医学といいます。西洋医学は細菌に対する抗生物質のように、 直接標的に作用することを主眼としておりますが、 漢方では病気を生じやすい体質異状を是正することにより、病気を治す方法をとります。 現代社会において、なぜ漢方薬が注目されているのでしょうか?

第一に、西洋医学で治せない病気に対し、漢方治療が有効なことがあり、 西洋医学の薬より副作用が少ないことが多くの方に知識として浸透してきたことが挙げられます。

第二に、現代社会には昨今の不景気の影響もあって、たくさんのストレスがあります。 ストレスが様々な病気を生むことはご存じのことと思います。 中医学では、肝(西洋医学の肝臓と同じ意味ではなく、むしろ自律神経系に近い意味です)が ストレスの影響を受け易いのです。 ストレスによって肝が傷むと、気の流れが悪くなり、気鬱状態になり、落ち込みなどの症状が出ます。 気鬱を改善する代表的な生薬に紫胡があります。柴胡を用いた漢方エキス製剤には、 小柴胡湯、四逆散、加味逍遙散などがあり、このような柴胡剤がストレス性疾患に有効です。

第三に、「上医は、未病を治す」というように、漢方の世界では既に病気になってしまってから治療する医者より、 病気に至らせないようにする医者の方が優れていると考えられています。 治りづらい病気がある以上、病気になってしまってから治療するより、 病気にかからないように体質改善させる方が得策です。体質改善を得意としているのは、漢方薬です。 ただ同時に食養生など、生活習慣に対する配慮も並行して行わなければなりません。

漢方薬の驚異的な効能について、実例を用いて提示しましょう。 頸部椎間板ヘルニアで悩んでいる82歳の女性の患者さんが、 4ヵ所の椎間板が殆どない程に潰れ、強い痛みのため頸を殆ど動かせない状態で、 「辛さのため、死にたいくらいだ。」と訴えておりました。 西洋医学では、手術以外では治すことが出来ないと思われます。 そこで桂枝茯苓丸(TY−034)に当帰、羌活、紅花などの生薬を煎じ加えて処方しました。

レントゲン写真では、第3頸椎から第7頸椎まで連続的に全ての椎間板が潰れて殆どない状態で、 頸をまっすぐに伸ばすことが出来ませんでした。 服用して6週後には辛い症状が全く消え、頸をまっすぐ伸ばすことが出来るようになり、 患者さんはとても喜んでおられました。 レントゲン写真では、潰れた椎間板が明らかに再生しております。

西洋医学では、潰れた椎間板は再生せず、元に戻らないと言われております。 結局は手術に頼らねばならなくなります。頸だけではなく腰に関しても、 椎間板ヘルニアの手術を受けるように言われた患者さんが当院を訪れ、かなりの改善効果を上げております。 ただし漢方エキス製剤は質の良い生薬を用いた製薬メーカーのものでないと、 全く効果が異なることがあるので注意を要します。さらに煎じ薬まで用いないと治りきらないケースがあります。 例えば、既製服を着るより、オーダーメイドの服の方が体にフィットするように、 患者さん個人個人の病態に合わせた処方をすること、 すなわち煎じ薬も使える知識を持ち合わせてないと、このような難しい症例は治すことは出来ないでしょう。

漢方薬は、処方する漢方薬の質によって、 さらに処方する側の知識や使い方によって、 効き方が異なることをご理解いただきたいと思います。

診療案内

[月・火・木・金] 09:00〜17:00
[水] 09:00〜18:00
[土] 09:00〜12:00
[休診日] 日・祝日

お問い合わせ : 0125-74-2021