動脈硬化を考える

「フレンチ・パラドックス」の謎/赤ワインと動脈硬化について

フランス人は、肉や乳製品などの動物性脂肪をたくさん摂っています。 何せ年間一人当たりの肉消費量はヨーロッパでトップなのです。 私たちの常識では、こうした国民は血清コレステロール値が高く、 心筋梗塞、狭心症といった虚血性心疾患による死亡率が高いのではないかと予想しますが、 実際には虚血性心疾患による死亡率は、∃ーロッパで最下位、イギリスの3分の1以下、 ドイツの約2分の1という数字になっており、これが「フレンチパラドックス」と呼ばれる謎です。 これには、様々な解釈が行われてきましたが、最近注目されているのが「赤ワイン説」です。 フランスではワインはいわば“飲む主食“であり、 昼食時の”おかず“のパンを噛みながらワインを飲む姿はごく日常的な風景になっています。 実際、フランス人の一人当たりの年間ワインの消責量は世界一です。

赤ワインには、ポリフェノールが含まれ、動脈硬化予防作用があることがわかってきています。 動脈硬化は、LDLコレステロールという悪玉コレステロ−ルが活性酸素により酸化を受け、 性質が変化したものが、血管の内膜(血管壁の一番内側の壁)に入り込むことによって起こります。 そして、動脈硬化により血管の壁が厚くなると血管の流れが悪くなったり、 血液がかたまりやすくなったりして、心臓疾患や脳卒中などの原因になります。 赤ワインのポリフェノールは、LDLコレステロールの酸化を予防することによって、 動脈硬化を予防する効果があります。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」というように、いくらワインが健康によいといっても、飲み過ぎは良くありません。 アルコールの摂り過ぎは血液中に中性脂肪を増やすからです。 中性脂肪が多いとなぜ良くないのでしょうか。 コレステロールが高いと動脈硬化を促進するということは、みなさんご存じと思いますが、 最近まで中性脂肪が高いと健康にどのように悪いかが分かっていませんでした。

中性脂肪と動脈硬化について

コレステロールの中で悪玉コレステロール(LDLコレステロール)という物質があって、 血管壁の中でマクロファージという掃除屋さんによって貪食され、 血管壁の内膜にコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を進めてしまいます。 LDLコレステロールには、悪玉コレステロールの中でも最も悪い(悪玉中の悪玉) スモール・デンスLDLコレステロ−ルがあります。スモール・デンスLDLコレステロールは、 LDLコレステロールの中で一番酸化を受けやすいため、(酸化LDLコレステロールをより好んで食べる) マクロファージにより容易に貪食されて、血管壁の内膜にコレステロールがより貯まりやすくし、 動脈硬化をより一層進めてしまいます。

適切な栄養配分

実は中性脂肪が多い人には、スモール・デンスLDLコレステロールが多いのです。 したがって中性脂肪が多い人は、動脈硬化になりやすいのです。 中性脂肪が多くなりやすい人は、アルコールの摂り過ぎのほかに、肥満、糖尿病、脂肪肝のある方です。 コレステロールがそれほど高くなくても、中性脂肪が高い場合は注意が必要ですが、 コレステロール値が高い上に中性脂肪が高い場合は要注意です。 中性脂肪を下げるには、まず食事療法、運動療法を行い、適正な体重にすることが必要です。

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