癌と免疫

私たちの体の中では、免疫系によって癌細胞の増殖が抑制されたり、癌細胞が死滅させられたりしています。 逆に免疫不全状態になると癌が発生してくることは、よく知られています。 癌を考える上で免疫系は、きわめて重要です。免疫不全状態には、先天性のものと後天性のものがあります。 後天性のものでは、エイズや移植時の免疫抑制剤使用が有名ですが、 働き過ぎや心の悩みによっても免疫系が抑制されます。 心の持ち方、考え方によって、免疫能が影響を受けることをご理解されることが必要です。 近年の癌の研究で、多くの癌遺伝子の存在が明らかにされています。 ただしこれらのほとんどが正常細胞が本来持っている上皮再生のための増殖関連遺伝子です。 正常細胞が交感神経などの刺激を受け続ければ、この増殖関連遺伝子に異常が起こり、 その細胞が悪性化するものと思われます。 働き過ぎや心の悩みなどが交感神経刺激の持続を引き起こし、 交感神経刺激が、顆粒球を活性化し、その放出する活性酸素により上皮細胞を傷つけ、置き換えを促進します。

(1)細菌感染

顆粒球が少ないと、細菌感染症に対する抵抗性が低下しますが、 逆に過剰になりますと、常在菌や他の侵入菌と反応して、化膿性の炎症を強く起こしやすいのです。 顆粒球の過剰を引き起こす原因は、交感神経緊張の持続によって誘導されます。
歯槽膿漏や痔は、重症化すると化膿することが多くあります。 これは、働き過ぎなどの交感神経の緊張の持続によって、 全身性に血流障害と頼粒球増多が来ることから始まります。 顆粒球の放出する活性酸素によって組織が破壊されますが、常在菌が多い歯肉や直腸が、 この組織破壊のターゲットになるのです。
したがって、歯槽膿漏や痔を治療するには、口腔内や肛門付近を清潔に保つとともに、 働き過ぎなどによる過剰な交感神経緊張状態を解く必要があります。

さらに交感神経刺激が持続すると、 副交感神経支配のNK細胞からのパーフォリン(NK細胞のキラー活性物質)分泌が低下し、 癌細胞を攻撃するNK細胞のキラー活性が低下します。 癌患者の免役能を調べると、ほとんどの場合、免役抑制状態にあります。 この傾向は、早期癌患者でも見られ、癌の進行とともにその傾向が強まります。 癌患者では、さらに白血球総数が増加傾向(>6000/μ1)でリンパ球の比率が30%以下の人がほとんどです。 進行癌では、リンパ球比率が20%以下で、末期癌では10%前後まで低下します。 抗癌剤を投与された患者では、リンパ球が著しく減少します。 抗癌剤によって癌が縮小しても、再発時に癌細胞の進行が著しく高まるのは、 リンパ球が減少し、免疫系が抑制された影響が考えられます。 一方で手術や抗癌剤治療後に数年以上も癌が再発しない人がいます。 この人たちが持っている共通の現象があります。リンパ球が40%以上持っているという特徴です。 発癌した人でもリンパ球の比率の高い人やリンパ球の絶対数が多い人の方が予後がよいようです。 リンパ球が35%以上、あるいはリンパ球の絶対数が2000/μ1以上の人たちの方が、 治癒する傾向が高いことを経験しています。 未治療の癌患者で発熱を生じ全身性の炎症反応が出ることがあります。 これを傍腫瘍症候群(paraneoplasticsyndrome)といいます。 現象的には、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患と似た症状を呈します。 この本体は、胸腺外分化T細胞が腫瘍細胞を異常自己として認識し攻撃を仕掛けたことによります。 この反応の後に腫瘍は、縮小したり消失したりします。 ある意味では、生体の持つ温熱治癒反応で防御反応といえます。 このような反応は生体にとって有益な反応なので、消炎鎮痛剤やステロイドを投与し、 むやみに解熱させたり炎症を抑制させる方法には疑問が残ります。 ストレスを除き免疫能を高めると、癌が自然退縮することがあります。
ストレスを除く方法は、

1)生活や生き方を見直してもらい、働き過ぎを避け、心の悩みを除くようにする。

2)癌は免疫能が高まると、進行が止まったり、退縮し始めることがあるので、 恐怖心を抱いたり、悲観的にならないようにする。

3)針治療やくつろいだ気分になれるようにする

など副交感神経を刺激して、免疫能を高めることが重要です。

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