感染症

感染症は、侵入してくる微生物側の病原性だけに目をとらわれずに、 宿主側の免疫状態によって病態が激しく変化することを知る必要があります。 感染症は、細菌感染症とウイルス感染症があり、防御にあたるのは白血球ですが、 細菌処理には顆粒球、ウイルス処理にはリンパ球が担当します。

(1)細菌感染

顆粒球が少ないと、細菌感染症に対する抵抗性が低下しますが、 逆に過剰になりますと、常在菌や他の侵入菌と反応して、化膿性の炎症を強く起こしやすいのです。 顆粒球の過剰を引き起こす原因は、交感神経緊張の持続によって誘導されます。
歯槽膿漏や痔は、重症化すると化膿することが多くあります。 これは、働き過ぎなどの交感神経の緊張の持続によって、 全身性に血流障害と頼粒球増多が来ることから始まります。 顆粒球の放出する活性酸素によって組織が破壊されますが、常在菌が多い歯肉や直腸が、 この組織破壊のターゲットになるのです。
したがって、歯槽膿漏や痔を治療するには、口腔内や肛門付近を清潔に保つとともに、 働き過ぎなどによる過剰な交感神経緊張状態を解く必要があります。

(2)ウイルス感染症

一般的なウイルス感染症は風邪などで日常経験しますが、 この風邪ウイルス(アデノウイルス、エンテロウイルスなど)の刺激によって、 私たちの免疫能が正常に保たれている可能性が高いのです。 感染刺激が免疫能の保持に必要なのです。
一般的なウイルス感染症《麻疹(はしか)》などは、一度かかるともうかかりませんが、 風邪の場合、抗原変異を起こすため、再感染します。 風邪が重症化するのはどんな場合でしょうか? リンパ球が少なくても過剰でもそれぞれに特有なウイルス感染症状が強く出ます。 (大人では、リンパ球30〜45%) 免疫過剰域では、ウイルスとリンパ球の戦いの過剰反応が起こり、発熱、炎症、消耗などが強く起こります。
「風邪を引きやすい」タイプの人達で、子供時代に多く見られます。 逆に免疫抑制状態では、風邪の炎症が遷延化する(長引く)ことが多く、 脳炎や脊髄炎などの神経障害に移行することがあります。 また、頼粒球の炎症に移った時、肺炎などを合併します。 このように免疫能は、高すぎても低すぎても良くなく、 免疫系が正常領域にあるときに最も効率よくウイルスを排除できます。
よく体調がすぐれない時や疲れ過ぎたときに 口唇ヘルペスや帯状疱疹等のヘルペスウイルス感染症を引き起こすことがあります。 これは、プロウイルスとして体細胞内に潜伏したウイルスが免疫系の低下によって自己複製し、 ウイルス感染症を引き起こすことによります。
通常は、リンパ球の活性化が起こり、自然治癒しますが、 免疫能があまりにも低下していますと重症化することがあります。
風邪を引いたらすぐに解熱剤を使う人がいますが、あまりお勧めできません。 ウサギの実験で、解熱剤を使った方が風邪が遷延化し易いというデータがあります。 インフルエンザにボルタレンという解熱剤を投与して、 インフルエンザ脳炎に進展した例があり、インフルエンザには、この解熱剤は用いることが出来ません。

(3)風邪への対応

風邪を引いたら、寒気が出ている早い時期にまず暖かくすることが必要です。 できるだけ早めに漢方薬を服用して、体を温めて、汗が出ていないときは、 麻黄湯や葛根湯などの発汗をうながす方剤を用い、汗が出ている場合は、桂枝湯類を用います。 そして暖かい食事(お粥、うどんなど)と暖かい飲み物を摂ることです。
喉が渇いたからといって、冷たいドリンクを飲んではいけません。 アイソトニック飲料でも熱くして飲みましょう。

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