肥満がもたらす弊害

シンドローム×は、聞き慣れない方もいらっしゃると思います。 シンドローム×は、インシュリン抵抗性症候群とも呼ばれ、 高血圧、インシュリン抵抗性、上半身性肥満、高トリグリセライド血症、低HDL−コレステロール血症を特徴として、 狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患の危険性の高い症候群てす。 過食、運動不足などのため、肥満となり、インシュリンが効きにくい状態となって、 過剰のインシュリンが分泌されることが原因となっております。

高トリグリセライド血症は、中性脂肪という脂質が増える病態で、 前回も紹介しましたように、アルコールの摂り過ぎ、糖尿病、肥満などで増えます。
低HDL−コレステロール血症とは、善玉コレステロールが少ない状態です。 過食、運動不足、過剰の飲酒といった生活習慣の乱れやストレスが結果的には高脂血症、高血圧、糖尿病をもたらし、 さらに動脈硬化を助長します。
高インシュリン血症が肥満を助長し、肥満が高インシュリン血症をもたらすように悪循環が形成され、 より生体にとって不利な方向へ加速されていきます。 逆に過食を控え、適切な食事療法をして、 運動を積極的に行い、控えめの飲酒、ストレスの発散などにより悪循環を断ち切り、 良循環の方に持って行くように致しましょう。
生活習慣病を氷山に例えれば、氷山の大部分の海面下の部分が、 インシュリンが効きにくいインシュリン抵抗性(高インシュリン血症)=肥満であり、 それによって引き起こされる高血圧、高脂血症、糖尿病、脂肪肝といった海上にある氷山の生活習慣病の治療には、 海面下の治療を欠くことはできないのです。肥満を伴った高血圧、糖尿病や高脂血症の人には、 個々の治療も大事ですが、それぞれの疾患の原因となっている肥満の治療は、非常に重要で欠くことができません。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」というように、いくらワインが健康によいといっても、飲み過ぎは良くありません。 アルコールの摂り過ぎは血液中に中性脂肪を増やすからです。 中性脂肪が多いとなぜ良くないのでしょうか。 コレステロールが高いと動脈硬化を促進するということは、みなさんご存じと思いますが、 最近まで中性脂肪が高いと健康にどのように悪いかが分かっていませんでした。

肥満治療について

当院を初診で訪れた肥満の患者さんに、前医が行った肥満についての対応を尋ねてみましたところ、ほとんどの医師が、「やせなさい。」とのみ話すだけで、「どうしたらやせられるのか」という指導を行っていないケースが多くあります。 言葉だけで、「やせなさい。」と言われても、やせることはできません。

肥満の治療には

1.肥満がもたらす弊害(生活習慣病)について、なぜやせなければいけないのかを理解し、動機付けを行う。

2.やせるつもりで行っている自己流の食事療法には、落とし穴が見られることが多いので、食事療法について栄養士からわかりやすく説明してもらう。

3.間食を辞め、野菜を多くし、味付けを薄くしできるだけ砂糖を使わないようにする。

4.自分の体調に合わせ、速足などの軽い運動を1日20分以上行う。などが必要です。

診療案内

[月・火・木・金] 09:00〜17:00
[水] 09:00〜18:00
[土] 09:00〜12:00
[休診日] 日・祝日

お問い合わせ : 0125-74-2021